和歌山県田辺湾で捕獲されたキジハタEphinephelus akaaraに寄生していた寄生虫の一種Lernaeenicus ramosusについての報告

 Lernaeenicus ramosusはハタ類などに外部寄生する甲殻類の1種で,国内では1954年に三重県と和歌山県で初めて報告された。本種は枝分かれした各部を備えた頭部を宿主の表皮から皮下に没入させて寄生する(Shiino,1958)。


本種はハタ科魚類の体側面や腹部に対し,1から複数匹が寄生する。本種の寄生による宿主のへい死は少ないが寄生の数によっては宿主の行動を妨げ,あるいは細菌等の二次感染により衰弱死を招くことがある(土居,2008)。


参考文献

・Shiino,S. M.(1958)Copepods parasitic on Japanese fishes. 17.Lernaeidae. Rep. Fac. Fish.,Mie Univ.,3,75-100.

・土居 敏男(2008). Lernaeenicus ramosus (橈脚亜綱,ペンネラ 科)に寄生されたキジハタの組織学的観察 と飼育下で自然治癒した 1 例.Japanese Society for Aquaculture Science. vol.56, No.4, p601-602.


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ハタ科魚類(Serranidae)は様々な研究が行われている。このホームページは,これまでになされてきたハタに関する研究(種苗生産に関する研究報告,性転換や社会構造など生態学的な研究,分類学的な研究報告など)をまとめハタ科魚類についての知見を網羅するために作ったものである。